≪お祝いの明暗≫

昨夜は【アンドレイ】の5周年祝い祇園へと向かう。

席数が少ないために予約をしておき、シャンパンをオーダーする。

今年のシャンパンはマムのロゼ、別名コルドンルージュってやつだ!

5周年イベントは3日間つづくのだが、俺が初日を選んだのは理由があった。

毎日違うゲストバーテンダーが登場する趣向なんだが、初日は二子玉川からやってきたマッキー。

言うまでもなく店主がGMを務めていた店で、右腕として活躍していたバーテンダーでもある。

しかし俺たち木屋町で飲んだくれ仲間では、【コルドンノワール】時代のバーテンダー3人が揃うというノスタルジックな楽しみになっていた。

オードブルも祇園の割烹【八寸】を筆頭に、彼女の選りすぐりの店から集められた品ばかりで、和洋中と名店の味が楽しめる。

いずれもの料理に合うということで、コルドンルージュが選ばれていたのだ。

開店と同時に満席。

予約をせずに、立ちながらでもシャンパンを開ける近隣の同業者や10分で飲むからと懇願する方もチラホラ。

俺はカウンター中央に座り、いつもどおりバカ話に盛り上がっていた。

そんなウワサを聞きつけたらしく、電話をしてきたのが【こまり】のママ。

なにしろマッキーは彼女の木屋町時代のお客さんでもあり、東京に行ってからも一緒に飲んでいた友人でもあった。

とはいえ、すでに先斗町の店にはお客さんがいる。

お客さんに事情を説明して、近所の日本酒バーに1時間だけ預かってもらうことにして走り出したそうだ。

5分で到着して俺のシャンパンを飲み干し、オードブルで腹を満たして帰っていく。

まぁ良い。

おかげで俺もママと帰ると言えば、誰も引き留めることはない。

大企業や老舗店の社長や芸舞妓など花街や舞台関係の人など、この店では多くの方と知り合うことができたが、女性連れならスルーが暗黙のルール。

さして酔うこともなく、早めに店を出ることができたので、ママとは先斗町で別れて俺は先日にオープンしたバーのお祝いに向かうことにした。

21時30分……

【タイム】という店。

電気はついてるけど鍵が閉まったまま……

店主に電話をしてみる。

ごるるらぁーっ!

はよぉみせぇあけんかぁえっボケーっ!

と川を越えて別人に戻った俺は、発信音が途切れるなり怒鳴る。

が……「ただいま電話に出ることはできません……」と、コンピューター音声に似た女性の声でまやかそうとしやがる。

ので、地下鉄に乗って帰宅した。

その直後、ママからお礼の電話がかかってきた。

どうやら常連さんも帰られて、日本酒バーにもお礼を伝えにきたところのようだ。

俺がタイムが閉まっていたことを話すと、背後から男性の声で「あいつ地雷ふんでまいよったーっ」と声が聞こえてきたのだ。

そして今朝、タイムのマスターが「今夜も元気にバーリーナイ……」なんていう記事をFacebookにあげていたのでコメントを残した。

が……返信はない。

あ〜ぁ!

せっかく機嫌が良かったのにな……

残念でならない。

今夜のゲストはANAcrownplazaのバーテンダーで、元ダルクのマスター。

つまり隣の町内に住むご近所さんなんだが、蕎麦屋の大将に任せて俺は自宅でイジケていよう……

ciao